子犬印のティーポット

中華街で食事をするとまずはポットに入った茶が出てくることが多い。

ポットは陶器製だったりステンレス製だったりする訳だけけれど、

ステンレス製のポットの保温力がいいことに気がついて、食事の帰りに照宝に寄ってみる。

店に入ってすぐ左の棚に5人用と8人用が置いてあった。

質実剛健とはこのこと!

しっかりしている。

手に取ってみると持ち手がスッと馴染んだ。

蓋のヒンジに自然と親指が動く。距離がちょうどいい。


これはいいぞ。


持ち手のこの黒い樹脂が昭和っぽくて気にはなるものの・・・

値段も想定の範囲を超えてはいるものの・・・

買わない要素はいくつかあった。

しかしこいつは手から離れないのであった。

親指が動いて蓋が開き、ポットの中が見える。

注ぎ口が本体に溶接されている。

なんとこれは手作りだ。

照宝ではセイロと中華鍋を買っている。どれも安くてとてもいい。

この店がこの値段で棚に並べるのだから適正価格なんだろうと思う。

悩んでいると相方さんが「いいんじゃない?壊れないし」とひと言。

そうだ、、壊れない。。

(いや、この黒い樹脂部分は劣化の可能性があるのだから壊れにくい、、だ)

同居人が価値を認めてくれるのはこの上ない後押し。


それから1ヶ月近く、毎日こいつで朝のお茶を淹れている。

朝は10時までノンカフェインのお茶と決めている。最近は蕎麦茶。

仕事柄机にむかっている時間が長いので、ステンレスの携行保温ポットに入れてカップに移して飲むのだが、携行用のポットは注ぎ変えることを想定していないので左手でカップをポットの注ぎ口まで運んで注がなければ飛び跳ねがあった。

このポットではそういう心配が一切ない。

注ぐたびにうっとり。


最初は気になっていた黒い樹脂部分もあーら不思議。

今ではいいアクセントになっているなぁと思っている次第。

この樹脂加工、

ステンレスの加工が終わったあと、フレームに粉末の樹脂を入れて焼き固め、

最後に表面を削って平らに仕上げているという

ものづくりにこだわって楽しんでいた時代の名残である


作っているのは燕市の本間制作所

ここで書くまでもなく、プロの調理の世界だけでなくもの好きさんたちの間では有名なシリーズらしい。

樹脂部分が耐熱仕様ではあるものの直火にかけると劣化すると意見があったようで2016年にリニューアルされオールステンレスになった。溶接部分の職人技はそのままである。樹脂の工程と材料が減って価格も少し安くなっている。環境にもいいだろうしデザインとしてもシンプルで美しい

これはこれでとてもいいが

旧タイプのこだわりにグッとくる。

照宝価格(定価より安かった)で手に入ったのも縁があったなと思っている。


とても素敵なシリーズなので

本間製作所のHPでぜひご覧ください→ 子犬印